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水循環システム 雨水タンクの自作 その3 システム運用から1ヵ月の運用結果と導入費用と課題

水循環システム 雨水タンクの自作 その3 システム運用から1ヵ月の運用結果と導入費用と課題

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・1ヵ月間の運用実績

現在、貯水タンクは主に木箱+袋の組み合わせによるものが3つで、大容量300Lと180L×2の660L、試験用に導入した45Lポリバケツ、そして、夏場は風呂に浸かることが少ないため風呂の浴槽を活用した300Lとなり、最大約1000Lの雨水(風呂水を含む)を溜めることができます。

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前回紹介した湯ポポンで風呂桶にも雨水を溜めることができます。

6月1日から30日まで1ヵ月間運用した結果、約6(立方メートル)=6000Lの節水となりました。今年6月のこの地域の降雨量は例年と比べて少なかったように感じますが、まずまずの成果を得ることができました。

 

・導入費用(少しマニアックな話ですのでスルーしてもOK・・・笑)

今回、このシステムを導入するために掛かった費用は総額で約2万円程度になります。一般的に再生エネルギーを活用するために要する初期投資額は10年でもとが取れるというものが現在の主流だと私は考えています。例えば、太陽光、ソーラーパネルであれば、200万円程度の初期投資で、年間20万円程度の売電収入があり、10年間ランニングすることで、初期投資費用を回収するということです。実際は運用ロス、メンテナンス費用がかかるでしょうから、一様にはいきませんが。外国を見ても、英国(確かウェールズだった)などで投資話として、巨大な風力発電装置の初期投資額が6000万円で年間の売電収入が600万円、11年目から600万円の収入が見込めるというような内容のものがテレビ番組で紹介されていました。現在の消費者はどんどん賢くなっていますから、昔のように20年、30年というようなタイムスパンで初期費用を回収するというと、なかなか売れないのかもしれません。しかし、ソーラーパネルの売電収入というものを考えたときに、その源泉は、電気消費者全体に再エネ促進賦課金という名前でそれを負担させることから出ています。ソーラーパネルを設置したものには売電収入というメリットはあるけども、設置していないものにはデメリットしかない。まぁ、そういうことで再生エネルギーを促進させるということが目的なのでしょうが・・・。

これらを踏まえ、年間に雨水利用、風呂水を再利用することで1年間でどれだけの経済効果が生まれるのかを計算してみましょう。その計算はお住まいの地域の年間降雨量を調べ、お住まいの住宅の屋根面積で1年間にどれだけ雨水を溜めることができるのか計算し、そこに風呂に入る頻度と浴槽の容量を計算したものを足し、お住まいの地域の水道料金1㎥(立方メートル)あたりの単価で除すことで求めることができます。さらに厳密に言えば、ポンプを家庭用電源で使用する場合の電気代を減算します。その結果、今回のシステム導入に掛かった初期費用は1年程度で回収することができると予測できました。10年で初期費用を回収するというのが現在の主流とした場合、逆算すれば、1年間で見込める収益×10(年)が初期投資費用額に値するということになりますから、このシステムの場合には20万円程度の価値があるということが言えます。さらに他の誰かに金銭的な負担を及ぼすことがない。

 

計算例)

年間降雨量1000mm※1、屋根面積20㎡、風呂浴槽容量300L、年間風呂日数200日、水道料金300円/

ポンプ 最大出力60w、1日利用回数30回、1回あたりの使用時間80秒 電気料金24円/kw の場合

①1000L×20㎡+300L×70%(浴槽7分目として)×200日=62000L

②62000L÷1000L×300円=18600円

③30回×80秒=2400秒=40分

④60w×40分÷60分=40w => 0.04kw×24円×365日=350円

⑤ ②-④=18250円

※1.降雨量1mmというのは1平米あたりに高さ1mm分の雨が降ることを意味しますので1L(100×100×0.1=1000ml)ということになります。年間降雨量が1000mmというのは、1平米あたり1000Lの雨が降るということを意味します。

 

・課題

課題としては、降雨量が多いときには容量1000L分では雨水ロスが発生してしまうことです。やはり取り切れない雨水を見ているのは少々残念な気持ちになるのですが、年間降雨量が一番多いと見込まれる6月の状況に合わせてタンクを作り込むと、作り過ぎるというリスクもあるため、ここは1年通じての最適な容量を判断する必要があります。

次に、給水するために設置したポンプの音と振動の問題があります。できる限り、音と振動の問題を解決するために色々と試みましたが、もともと大音量のポンプですので限界があります。トイレのドアを締めれば気にならない程度にまでは防音できるようになりましたが、とりあえず、ポンプとホースの購入費を考えれば、しばらくは現状のまま運用していくことになりそうです。

さらに、給水にかかる時間です。現状のポンプ性能では小で80秒、大で100秒程度の時間を要します。この課題を解決するためには、大容量タンクの底上げをはかり、タンクに入れているホースの先端部分のレベルを上げることです(高低差を減らす)。しかし、あまり上げ過ぎるとタンク下部にある水を吸水できなくなりますので運用ロスが生じます。現状で運用しているレベルが限界かもしれません。

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・最後に

雨水を利用することは自然の恵みを利用することになります。手動で運用しなければならない部分がありますので、水道料金のことを考えると労力の割には節水効果による金銭的なメリットは得られません。勤め人の方であれば、そんなことに時間を費やす分、残業をするほうが金銭的恩恵は遥かに大きいでしょう。お金基準で物事を考えるようになっている現代人にとっては、動機が起こらないかもしれません。しかし、個人レベルでは小さな金額でも、ブログ記事を読んだ方たちが、雨水利用に興味を持ち、運用するようになれば、その分だけ経済効果は生まれます。そして、有事のときにもトイレの水などで困らない人が増えることにつながります。今日の世界では、生まれながらにして必要なインフラが用意されていて、当たり前のように使っていますが、何らかの形でそのインフラやサービスが分断されたとき、自力で何とかしなければなりません。日頃の節水意識と、そんなときのために普段から少しの手間を供出することは決して無駄なことではなく、意義のあることです。